26:14 そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行き、
26:15 「あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか」と言った。そこで、彼らは銀貨三十枚を支払うことにした。
26:16 そのときから、ユダはイエスを引き渡そうと、良い機会をねらっていた。
女性から頭に香油を注がれて、イエス様は「この人はわたしの体に香油を注いで、わたしを葬る準備をしてくれた」と言われましたが、これを聞いてイスカリオテのユダはイエス様に幻滅したのではないかとも考えられます。
捕らえられて殺されるようになれば、もう終わりだと思ったのかもしれません。「こいつはだめだ」と見切りをつけて、祭司長たちの所へ行き、イエス様を引き渡すことを持ちかけるのです。ここでユダは、「あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか」とイエス様を自分の持ち物であるかのように扱っています。
このユダの要求を受けて、祭司長たちは銀貨三十枚を支払ったわけです。ユダは銀貨三十枚のために、イエス様を祭司長たちに引き渡すのです。銀貨三十枚は、出エジプト記21章32節によれば、男奴隷の命の賠償金と同じ金額です。祭司長たちは、イエス様の命を、男奴隷の命と等しい金額で買い取ろうとするのです。
また、「銀貨三十枚」は、ゼカリヤ書11章12節によれば、イスラエルの民が主の羊飼いに賃金として与えた金額でもあります。イエス様の命に金額などつけようもありません。しかし、祭司長たちは、銀貨三十枚という値段を付けました。そして、イスカリオテのユダは、銀貨三十枚を受け取り、そのときから、イエス様を引き渡そうと、良い機会を狙っていたのです。
このようにして、イエス様は、祭司長たちの当初の計画に反して、祭りの間に、十字架につけられるために引き渡されることになるのです。
祈り
イスカリオテユダによる裏切りによって、祭司長たちがイエス様を十字架にかけようとする企てが実行に移されるようになりました。こうしたことの背後には悪魔の働きがあると思われますが、それもまた神の御手の中で行われていたことを教えられます。すべてにおいてあなたの御心がなりますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。