7:51 かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。
7:52 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。
7:53 天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」
7章51節以下で、ステファノは最高法院の罪を大胆に告発しています。この罪の告発から、ステファノの語った言葉は、最高法院を悔い改めへと招く説教と理解することが出来ますが、それ以上にここで、ステファノが一番いいたいことは、預言者が預言してきた正しい人、イエス・キリストについてなのだということが分かります。
正しい方であるイエスについて語るとき、ステファノはどうしても最高法院の罪に触れなくてはならなかったのです。それは彼らがイエス様を裏切る者、殺す者となったからです。さらには、イエス様の遣わされた使徒たち、弟子たちをも迫害する者たちでした。
ここでステファノが「あなたがたの先祖がさからったように」と言うとき、自分は違うということを言いたいのではありません。そうではなくて、ここでステファノが、「あなたがたの先祖」と言ったのは、それは最高法院の議員たちが、預言者を殺した先祖たちと自分たちは関係がないと考えていたからです。
マタイによる福音書23章30節にあるように、最高法院の議員でもあった律法学者たちは、『もし先祖の時代に生きていても、預言者の血を流す側にはつかなかっただろう』なとど言っていたのです。しかしステファノは、預言者を殺したのは、他ならないあなたたちの先祖たちであり、あなたたちは、あなた方の先祖たちが預言者たちにしたのと同じことをしているのだと言っているのです。
彼らは、神によって遣わされた正しい人イエス・キリストを裏切り、殺すことによって、自分たちが預言者を殺した先祖の子孫であることを明らかにしたのです。52節には「その方を裏切る者、殺す者となった」と言われています。本来ならば、聖書の専門家である律法学者や祭司たちが、最高法院の議員が、イエス様の言葉に耳を傾けて主に従う者でした。聖書に詳しい彼らこそが、聖書が証しするイエス様の弟子となってもよかったのです。
けれども、実際は、彼らはイエス様を裏切る者、殺す者となりました。イエス様がルカによる福音書の20章でお語りになった「ぶどう園と農夫のたとえ話」のように、彼らは愛する独り子イエス様を殺すことによって、イスラエルというぶどう園を自らのものにしようとしたのです。そのようにして、彼らは神様との契約を、神様からの信頼を裏切る者となったのです。
ステファノは、律法をけなす者として訴えられていましたが、ステファノは、律法を守っていないのはあなたたちだと言ったのです。
祈り
天の父なる神様、ステファノは、当時の権力者である最高法院の議員たちを前にして、彼らの罪を指摘し、神によって遣わされたメシアであるイエス・キリストにこそ従うべきことを伝えました。このように大胆に人々に悔い改めを求め、キリストの福音を宣べ伝えることはまことに聖霊に満たされた者の姿を現わしています。そのように勇敢に大胆に福音を伝えることが出来ますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。