5:30 わたしたちの先祖の神は、あなたがたが木につけて殺したイエスを復活させられました。
5:31 神はイスラエルを悔い改めさせ、その罪を赦すために、この方を導き手とし、救い主として、御自分の右に上げられました。
5:32 わたしたちはこの事実の証人であり、また、神が御自分に従う人々にお与えになった聖霊も、このことを証ししておられます。」

ここでペトロは、「わたしたちの先祖の神」と言っています。「わたしたちの先祖の神」は、使徒たちと最高法院のメンバーたちの神、イスラエルの唯一の神ということです。あなたたちが権威の拠り所としている神、あなたたちが神殿で仕えている神ということです。

その神があなたがたが木につけて殺したイエスを復活させられたのです。ですから、これは最高法院のメンバーにも無関係なことではありません。いやむしろ、イスラエルの指導者である彼らこそが真剣に耳を傾けねばならない言葉なのです。

当時のユダヤでは、いきなり刑罰を言い渡し執行するのではなくて、警告を与え、それでも聞かない場合は、再警告を与え、それでも聞かない場合、そこではじめて、刑罰を言い渡し執行しました。

4章には、ペトロとヨハネが議会で取り調べを受けたことが記されていました。4章18節に「そして、二人を呼び戻し、決してイエスの名によって話したり、教えたりしないようにと命令した」とあります。これがいわば、最高法院からの使徒たちに対する初めの警告です。

しかし、二人は、これに従うことを拒否しましたので、21節で「議員や他の者たちは、二人を更に脅してから釈放した」のです。これがいわば、再警告にあたります。ですから、今朝の御言葉で、使徒たちが最高法院に引き出されているのは、これは、彼らに刑罰を言い渡し、執行するためなのです。

4章、5章と同じような記事が記されているので、なぜ、同じようなことが2回も記されているのかと思われますが、深刻さから言えば、今朝の御言葉は前回とは比べられないほどに深刻な場面なのです。使徒たちを取り巻く危機というものは、明らかに大きなものとなっているのです。なぜなら、この議場において、使徒たちへの刑罰が言い渡され、執行されるはずだったからです。

祈り

天の父なる神様、使徒たちは幾度も警告され、脅されて迫害を受けるのですが、それにひるむことなく大胆にキリストの福音を宣べ伝えていきました。これは人から出たことではなく、明らかにあなたの導きによるものでした。このようにして救いの御業を実現してくださることを感謝いたします。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。