26:51 そのとき、イエスと一緒にいた者の一人が、手を伸ばして剣を抜き、大祭司の手下に打ちかかって、片方の耳を切り落とした。
26:52 そこで、イエスは言われた。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。
26:53 わたしが父にお願いできないとでも思うのか。お願いすれば、父は十二軍団以上の天使を今すぐ送ってくださるであろう。
26:54 しかしそれでは、必ずこうなると書かれている聖書の言葉がどうして実現されよう。」
弟子たちの一人が、手を伸ばして剣を抜き、大祭司の手下に打ちかかって、片方の耳を切り落としました。この人は、剣や棒をもってイエス様を捕らえに来た大勢の群衆から、剣によってイエス様を守ろうとしたのです。
しかし、イエス様はこう言われました。「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。わたしが父にお願いできないとでも思うのか。お願いすれば、父は十二軍団以上の天使を今すぐ送ってくださるであろう。しかしそれでは、必ずこうなると書かれている聖書の言葉がどうして実現されよう」。
「剣を取る者は皆、剣で滅びる」。この御言葉はよく知られている有名な御言葉です。平和主義、戦争放棄、非武装を教えている御言葉として、文脈から切り離されて、用いられることがよくあると思います。武力は最終的な解決をもたらすことはできない。このことは考えて見れば誰にでもよく分かることだと思います。
しかし、イエス様はここでそのようなことを言われているのでしょうか?ある研究者は次のようなことを述べています。「『剣を取る者は皆、剣で滅びる』という御言葉が弟子たちに言われていることに心を留めなければならない。すなわち、『剣を取る者は皆、剣で滅びる』という御言葉は、信仰者が迫害者に対して取るべき模範を教えているのである」というのです。
ここで私たちが思い起こすべきは、5章38節、39節に記されていたイエス様の教えであります。「あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない」。
弟子の一人は、剣を持ってイエス様を捕らえた群衆の一人に剣で打ちかかりました。彼は目には目を、歯には歯を、剣には剣をと考えたのです。しかし、「悪人に手向かってはならない」と教えられたイエス様は、その教えのとおりに、悪人に何の抵抗もなされずに捕らえられたのです。そして、弟子たちにも、「剣を鞘におさめなさい。剣を取る者は剣で滅びる」と警告されたのです。
祈り
天の父なる神様、あなたは、「剣を鞘におさめなさい。剣を取る者は剣で滅びる」と教えてくださいました。そしてその言葉の通りに力で相手を打ち負かすのではなく、すべてを神の御手のうちに委ねて、十字架への道を歩まれたのでした。私たちもあなたの御心を求めて生きることが出来ますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。