兄弟たち、あなたがたに勧めます。あなたがたの学んだ教えに反して、不和やつまずきをもたらす人々を警戒しなさい。彼らから遠ざかりなさい。こういう人々は、わたしたちの主であるキリストに仕えないで、自分の腹に仕えている。そして、うまい言葉やへつらいの言葉によって純朴な人々の心を欺いているのです。あなたがたの従順は皆に知られています。だから、わたしはあなたがたのことを喜んでいます。なおその上、善にさとく、悪には疎くあることを望みます。平和の源である神は間もなく、サタンをあなたがたの足の下で打ち砕かれるでしょう。わたしたちの主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。ローマ16:17~20

兄弟たち。私はあなたがたに願います。あなたがたの学んだ教えにそむいて、分裂とつまずきを引き起こす人たちを警戒してください。彼らから遠ざかりなさい。そういう人たちは、私たちの主キリストに仕えないで、自分の欲に仕えているのです。彼らは、なめらかなことば、へつらいのことばをもって純朴な人たちの心をだましているのです。あなたがたの従順はすべての人に知られているので、私はあなたがたのことを喜んでいます。しかし、私は、あなたがたが善にはさとく、悪にはうとくあってほしい、と望んでいます。平和の神は、すみやかに、あなたがたの足でサタンを踏み砕いてくださいます。どうか、私たちの主イエスの恵みが、あなたがたとともにありますように。

 

この手紙も終わりに近づきましたが、ここでパウロは、「あなたがたの学んだ教えに反して、不和やつまずきをもたらす人々を警戒しなさい。彼らから遠ざかりなさい。」と述べています。「あなたがたの学んだ教え」とは、旧約聖書とパウロや使徒たちが語ったイエス・キリストに関する福音の教えです。これは聖書全体の教えを指しているということができます。

 

この教えに反していたり、この教えについて根本的に間違った理解をしている人たちが当時もいたことが分かります。例えば、ガラテヤ書には、「キリストの恵みへ招いてくださった方から、あなたがたがこんなにも早く離れて、ほかの福音に乗り換えようとしていることに、わたしはあきれ果てています。ほかの福音といっても、もう一つ別の福音があるわけではなく、ある人々があなたがたを惑わし、キリストの福音を覆そうとしているにすぎないのです。」(ガラテヤ1:6~7)

 

聖書とキリスト教会の歴史を見れば、旧約聖書の時代には偽りの預言者がおり、多くの人々を惑わせました。新約聖書が書かれたころにも、この教えを間違って解釈し、人々を惑わす異端の教えがすでに存在していました。このため、キリスト教会は、神の御心を求めながら、使徒信条、381年の第1回コンスタンチノポリス会議で二ケア・コンスタンチノポリス信条が作られ(三位一体)、451年のカルケドン公会議においてカルケドン信条(キリストの二性一人格)などが作られていきました。これらの成立過程において聖霊の神が守り導いてくださり、教会を誤りから守ってくださったといえます。

 

神を正しく理解しないことは、その生活にも反映してきます。福音を曲げて理解している人たちは、「うまい言葉やへつらいの言葉によって純朴な人々の心を欺いている。彼らから遠ざかりなさい。」とも言われています。教理において神にそむいているものや不道徳な人から離れることが命じられていますが、しかし、そうした人たちが悔い改めたなら彼らを受け入れることも聖書には教えられています。

 

祈り

 

天の父なる神様、旧約の時代も新約の時代も、神に背き、人々を惑わす人々は、いつの時代にも現れてきました。しかし、悪魔と反キリストによる妨害にも関わらず、神は救いのみ業をこの歴史に実現してくださいました。教会の歴史においても、あなたの御手の中で、真理の柱としての働きをお導きくださったことを心より感謝いたします。ただあなたの御心のうちを歩ませてください。

イエス・キリストの御名前によって祈ります。アーメン。