5:33 「また、あなたがたも聞いているとおり、昔の人は、『偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ』と命じられている。

 5:34 しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない。天にかけて誓ってはならない。そこは神の玉座である。

5:35 地にかけて誓ってはならない。そこは神の足台である。エルサレムにかけて誓ってはならない。そこは大王の都である。

 5:36 また、あなたの頭にかけて誓ってはならない。髪の毛一本すら、あなたは白くも黒くもできないからである。

 

律法学者やファリサイ派の人々は、「偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ」と命じていました。これは神の律法に基づいてのことです。「偽りの誓いを立てるな」は、レビ記1912節の「わたしの名を用いて偽り誓ってはならない。それによってあなたの神の名を汚してはならない」を要約したものです。

 

また、「主に対して誓ったことは、必ず果たせ」は、申命記2322節の「あなたの神、主に誓願を立てる場合は、遅らせることなく、それを果たしなさい」の要約であると考えられます。このように、神の律法に基づいて、律法学者やファリサイ派の人々は、「偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ」と命じていたのです。

 

けれども、イエス・キリストは、「しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない」と言われました。イエス様は、偽りの誓いばかりでなく、一切誓ってはならないと言われたのです。

 

イエス様は、「一切誓いを立ててはならない」と言われたのに続けて、「天にかけて誓ってはならない」「地にかけて誓ってはならない」「エルサレムにかけて誓ってはならない」「あなたの頭にかけて誓ってはならない」と言われましたが、これらはイエス様が禁じられた「一切の誓い」の具体例です。

 

これらのことを律法学者やファリサイ派の人々は、教えていたのです。つまり、彼らは、「偽りの誓いを立てるな。主に対して誓ったことは、必ず果たせ」と教えながら、その抜け道をも教えていたのです。つまり、彼らは、「天に対する誓いは果たさなくてもよい」と教えていたのです。

 

祈り

 

天の父なる神様、誓ってはならないというイエス様のお言葉は、誓ってもその通りに行うことが出来ない人間の弱さや罪深さをその背景に持つものです。そのような弱い者を救うために来られたイエス・キリストの恵みと愛を覚えて感謝いたします。

イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。