9:14 そのころ、ヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、「わたしたちとファリサイ派の人々はよく断食しているのに、なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか」と言った。
「ヨハネの弟子たち」というのは、バプテスマのヨハネの弟子たちのことです。この時、バプテスマのヨハネは、ヘロデによって捕らえられて牢屋に入っていました。ヨハネも弟子たちもよく断食をしていましたが、ヨハネの弟子たちは、イエス様に次のように尋ねたのです。
「わたしたちとファリサイ派の人々はよく断食しているのに、なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか」。「断食」は「宗教的な動機で一定の期間、食事を断つこと」ですが、旧約聖書では、年に一度だけ贖罪日に、イスラエル全体が苦行すること、すなわち断食することが定められていました(レビ16:29~31参照)。
それに加えて、ユダヤ人たちはバビロン捕囚後、エルサレムの陥落などを覚えて、年に四回断食するようになりました(ゼカリヤ8:19参照)。それ以上にヨハネの弟子たちとファリサイ派の人々はしばしば断食をしていたのです。
「断食とは宗教的動機から食を断つことである」と記しましたが、断食することのおもな動機は、罪を悲しみ、悔い改めることでした。バプテスマのヨハネは荒れ野で悔い改めの洗礼を授けていた人物ですから、その弟子たちがしばしば断食したことはよく分かることです。
バプテスマのヨハネは、イエス・キリストこそ来るべきメシアであると教えていましたが、イエス様やその弟子たちを見ていると、それほど断食していないように思われたので、この疑問をイエス様にぶつけたのでした。
祈り
天の父なる神様、イエス様が来られたころのイスラエルの人たちは、自分自身の罪を悔い改めるために断食をするということがありました。断食をして自分の罪を悔い改めることは意味のあることでもありましたが、イエス様が来られた時には、それ以上に神の国の福音を自分のものとして受け止めることが重要なことでした。あなたの前に、真実に悔い改めと信仰を新たにされて生きることが出来ますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。