27:57 夕方になると、アリマタヤ出身の金持ちでヨセフという人が来た。この人もイエスの弟子であった。
27:58 この人がピラトのところに行って、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出た。そこでピラトは、渡すようにと命じた。
夕方になると、アリマタヤ出身の金持ちでヨセフという人が総督ピラトのところに行って、イエス様のご遺体を渡してくれるようにと願い出ました。ユダヤでは、夕方から一日が始まります。ですから、新しい日が始まろうとしていたわけです。翌日は安息日でしたから、急いで葬りをする必要がありました。
普通ならば、十字架につけられた者は、囚人用の共同墓地に葬られるのですが、アリマタヤのヨセフの願い出によって、イエス様の体は丁重に葬られることになりました。イエス様の体が、アリマタヤ出身のヨセフによって葬られたことは、四つの福音書が記していますが、その記述は幾分違いがあります。
マルコによる福音書は、「アリマタヤ出身で身分の高い議員ヨセフ」と記しています(マルコ15:43)。また、ルカによる福音書は、「ヨセフという議員がいたが、善良な正しい人で、同僚の決議や行動には同意しなかった。ユダヤ人の町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいたのである」と記しています(ルカ23:50,51)。また、ヨハネによる福音書は、「イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフ」と記しています(ヨハネ19:38)。
このようにアリマタヤのヨセフについての説明にはそれぞれに違いがありますが、マタイによる福音書は、アリマタヤ出身のヨセフが「金持ちで」あり、「イエスの弟子であった」と記しています。ヨセフが金持ちであったことは、ヨセフがエルサレムに自分の墓を持っていたことの理由となります。当時、金持ちはエルサレムに自分の墓を持っていました。それゆえ、金持ちであったヨセフもエルサレムに自分の墓を持っていたのです。
また、ヨセフが「金持ちである」と記されているのは、このヨセフによって、イザヤ書の預言が成就したことを教えるためでもあります。イザヤ書53章9節には、「その墓は神に逆らう者と共にされ/富める者と共に葬られた」と記されています。
祈り
天の父なる神様、アリマタヤのヨセフというお金持ちの墓にイエス様は葬られました。使徒信条にも、「死にて葬られ」と告白されています。この葬りは、イエス様が確かに死なれたこと、それも預言の通りに死なれ、葬られたことを示しています。イエス様の死は、私たちにまことの命をもたらしてくださるものであったことを覚えて心より感謝いたします。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。