44:7 すると、彼らは言った。「御主人様、どうしてそのようなことをおっしゃるのですか。僕どもがそんなことをするなどとは、とんでもないことです。

44:8 袋の口で見つけた銀でさえ、わたしどもはカナンの地から持ち帰って、御主人様にお返ししたではありませんか。そのわたしどもがどうして、あなたの御主君のお屋敷から銀や金を盗んだりするでしょうか。

44:9 僕どもの中のだれからでも杯が見つかれば、その者は死罪に、ほかのわたしどもも皆、御主人様の奴隷になります。」

44:10 すると、執事は言った。「今度もお前たちが言うとおりならよいが。だれであっても、杯が見つかれば、その者はわたしの奴隷にならねばならない。ほかの者には罪は無い。」

44:11 彼らは急いで自分の袋を地面に降ろし、めいめいで袋を開けた。

44:12 執事が年上の者から念入りに調べ始め、いちばん最後に年下の者になったとき、ベニヤミンの袋の中から杯が見つかった。

 

ヨセフの兄弟たちは、たくさんの食料をいただいて家に帰っていきました。しかし、ヨセフに仕えている執事が追いかけてきて、『どうして、お前たちは悪をもって善に報いるのだ。あの銀の杯は、わたしの主人が飲むときや占いのときに、お使いになるものではないか。よくもこんな悪いことができたものだ。』と、彼らに疑いがかけられるのです。

 

兄弟たちは、実際、盗みなどしていませんから、兄弟たちにとってはこれはキツネにつままれたようなありえない出来事でした。ヨセフはここであえて、ベニヤミンの袋に銀の杯を入れさせましたが、これは兄たちに対するテストでもありました。この事態にあって、兄たちがかつて自分にしたようにベニヤミンを見捨てるのか、それとも彼を助けようとするのか。この問いに彼らがどのように答えていくのかを試して、事態は新しい展開を迎えていくのです。

 

祈り

 

天の父なる神様、私たちは、一人では生きていけないものであると知りながらも、この世界にはあなたが与えてくださった夫婦や親子、兄弟などの絆を失ったり、傷つけあったりしてしまう弱さを持っています。そんな私たちに確かな絆を与えてください。

イエス・キリストの御名前によって祈ります。アーメン。