6:9 ところが、キレネとアレクサンドリアの出身者で、いわゆる「解放された奴隷の会堂」に属する人々、またキリキア州とアジア州出身の人々などのある者たちが立ち上がり、ステファノと議論した。
6:10 しかし、彼が知恵と“霊”とによって語るので、歯が立たなかった。

ステファノが議論した者たちは「キレネとアレクサンドリアの出身者で、いわゆる『解放された奴隷の会堂』に属する人々、またキリキア州とアジア州出身の人々」でした。これらは、どれも「ギリシャ語を話すユダヤ人」です。彼らはギリシャ語を日常語とする、外地で生まれた、ディアスポラ(離散)のユダヤ人のことです。その人たちが、エルサレムへと帰って来ていたのです。

しかし、他方、わざわざ、外地からエルサレムに戻ってきた者ですから神殿に対して熱心で保守的な者たちでもあったと思われます。また、「解放された奴隷の会堂に属する人々」とありますが、エルサレムにも会堂、シナゴーグが沢山あったようです。

そして、その会堂は様々な人々からなっておりました。会堂、シナゴーグでは、礼拝も行われましたが、分かりやすくいうと公民館のようなところです。ですから、コミュニティーの中心だったのです。解放された奴隷は解放された奴隷だけで会堂を中心とする集まりを持っていましたし、キリキア州出身の人は、キリキア州の出身の人でというように、同郷の人々で会堂を中心とする交わりを持っていたのです。

その中のある者たちが立ち上がり、ステファノと議論したのです。ですから、これはおそらく、ステファノが、同じギリシャ語を話す、ヘレニストのユダヤ人の会堂に行って、福音を宣べ伝えていたと考えられます。そこで、ナザレのイエスこそが、聖書が預言してきたメシアであると告げ知らせていたのです。

それに反対する人々が立ち上がって、ステファノと議論をしたのです。しかし、彼が知恵と霊とによって語るので、全く歯が立ちませんでした。

祈り

天の父なる神様、イエス・キリストが十字架に老いて殺害され、その弟子たちも鞭で打たれたり牢に入れられたりして、「二度とイエス・キリストについて語ってはならない」と脅されましたが、使徒たちは、「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません。」と言って、神に従ってキリストの福音を宣べ伝えていきました。ここに登場するステファノもキリストの福音を宣べ伝えていきました。このようにして神に従う人たちを起こしてくださる恵みを感謝いたします。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。