14:1 そのころ、領主ヘロデはイエスの評判を聞き、

 14:2 家来たちにこう言った。「あれは洗礼者ヨハネだ。死者の中から生き返ったのだ。だから、奇跡を行う力が彼に働いている。」

 

「領主ヘロデ」と言われているのは、ヘロデ大王の息子のヘロデ・アンティパスのことです。ヘロデ大王が死んだ後、その領地は四つに分割され、息子たちによって統治されていました。イエス様が活動しておられたガリラヤはヘロデ大王の息子ヘロデ・アンティパスによって治められていたのです。

 

その領主ヘロデがイエス様の評判を聞き、「あれは洗礼者ヨハネだ。死者の中から生き返ったのだ。だから、奇跡を行う力が彼に働いている」と言ったのです。この時すでにバプテスマのヨハネはヘロデ王によって殺害されていましたが、そのいきさつが3節以下に記されています。

 

ヘロデは、イエス様の評判、イエス様がなされている悪霊追い出しや病の癒しなどの力ある業のことを聞いて、その力の源は、バプテスマのヨハネの霊がイエスのうちに働いているからだと考えたようです。

 

霊が受け継がれるという事について、列王記下の2章には、預言者エリヤはエリシャが見ている前で、炎の馬車に乗って天へと上って行くのですが、その前に、エリシャはエリヤに「あなたの霊の二つ分をわたしに受け継がせてください」と願いました。そして、エリヤが天へと上げられた後、預言者の仲間たちは、エリシャを見て、「エリヤの霊がエリシャにとどまっている」と言ったのです。

 

実際には、エリヤは神の霊を受けてその働きをすることが出来たので、エリヤの霊を受け継ぐという事は、エリシャも同じ神の霊によってその働きをしていくことが出来るようになったという事です。

 

ヘロデは、自分が殺した洗礼者ヨハネの霊が、イエスの内にとどまっている。だから、イエスは力ある業をなすことができるのだと言ったのです。しかし、実際にイエス様が力あるわざを行うことが出来たのは、ご自身が神の御子であるという事もありますが、神の霊によってその働きをしていくことが出来たと言えるでしょう。

 

イエス様が洗礼をお受けになった後で、「イエスは洗礼を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のように御自分の上に降って来るのを御覧になった。そのとき、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と言う声が、天から聞こえた。」(マタイによる福音書3章16~17節)と言われています。

 

祈り

 

天の父なる神様、私たちのうちにも聖霊をお送りくださり、あなたの救いの御業を実現してくださる恵みを感謝いたします。御霊に導かれて生きることが出来ますように。

イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。