3:22 モーセは言いました。『あなたがたの神である主は、あなたがたの同胞の中から、わたしのような預言者をあなたがたのために立てられる。彼が語りかけることには、何でも聞き従え。
3:23 この預言者に耳を傾けない者は皆、民の中から滅ぼし絶やされる。』
3:24 預言者は皆、サムエルをはじめその後に預言した者も、今の時について告げています。

ここでペトロが引用して言葉は、申命記の18章15節とレビ記23章29節の言葉が結び付いた、いわゆる複合預言です。申命記の18章には、「民の中から滅ぼし絶やされる」という厳しい言葉はありません。そこには、ただ「その人の責任を追及する」と書いてあるだけです。

それでは、ペトロはなぜ、「民の中から滅ぼし絶やされる」というレビ記の言葉を付け加えたのでしょうか。それは、イエス様がモーセのような預言者に留まらず、モーセよりにまさる預言者であったからです。イエス・キリストは、神の言そのものであり、神の右に座する主となられたからです。

ですから、この方に聞き従うか、従わないかはイスラエルの民であるかないか、の決定的な分岐点となるのです。イエスの名によって洗礼を受け、その支配下に入るかどうか、それは神の民イスラエルとして留まり続けるかどうかの決断なのです。そのため、ペトロはここで、必死になって、兄弟たちに、イエス・キリストに聞き従うようにと説得しているのです。

ペトロは、サムエルをはじめとする全ての預言者が今の時について告げていると語っています。モーセだけではありません。すべての預言者たちもイエスについて語っているのです。「モーセと預言者」、これは旧約聖書を指す言葉です。旧約聖書全体が、イエス・キリストについて告げていると言うのです。

祈り

天の父なる神様、旧約聖書全体がイエス・キリストによる救いを預言しているとともに、その預言をことごとくその通りに実現してくださる御業を感謝いたします。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。