5:29 ペトロとほかの使徒たちは答えた。「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません。
ペトロをはじめとする使徒たちは、はっきりと「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません」と言いました。これは、かつて4章19節で言ったペトロの言葉よりも断定的な言葉となっています。4章19節で、ペトロは「神に従わないであなたがたに従うことが、神の前に正しいかどうか、考えてください」と言いました。
ここでは、まだ、最高法院の権威をいくらかは認める発言となっています。しかし、今日の御言葉では、最高法院といえども、単なる人間なのです。それも、神と真っ向から対立する人間なのです。大祭司は「あの名によって教えてはならないと、厳しく命じておいたではないか」と言いましたが、それに対して使徒たちは、「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません」という言葉によって、最高法院の命令に従うつもりは全くないことを、再度明らかにしたのです。
それは他でもない、私たちの先祖の神が、あなたがたが木につけて殺したイエス・キリストを復活させたからです。言うまでもなく、ここでの「木」は十字架のことを指しています。ここで、ペトロは、旧約聖書の申命記21章の規定を念頭において語っているのです。そこには、「木にかけられた死体は、神に呪われたものである」と記されています。
つまり、彼らは、神によって遣わされたメシアであるイエス・キリストを、こともあろうに呪い殺してしまったのです。しかし、神はイエスを復活させられ、御自分の右に上げられました。このことによって、最高法院が神の御心とどれほど離れているのかが明かとなったのです。
また、このことは、主の天使の言葉からも明かです。最高法院は、「あの名によって語ってはならない」と命じましたが、主の天使は、「命の言葉を残らず民衆に告げよ」と命じたのです。最高法院の命令が、神の命令に背き、対立することが明らかになった以上、使徒たちは彼らに従うことはできないのです。
祈り
天の父なる神様、「人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません。」と言って、神に従ってキリストの福音を宣べ伝えていきました使徒たちのように、あなたは様々な人を用いて救いの御業を実現していかれます。あなたのみ心がこの地でも行われますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。