16:21 このときから、イエスは、御自分が必ずエルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受けて殺され、三日目に復活することになっている、と弟子たちに打ち明け始められた。

 

「このときから」とありますが、「このとき」とは、「ペトロが弟子たちを代表してイエス様に『あなたはメシア、生ける神の子です』と告白したときから」ということです。イエス様は、弟子たちが御自分に対して、「あなたはメシア、生ける神の子です」と告白したときから、御自分がどのようなメシア、救い主であるのかを打ち明け始められたのです。

 

イエス様は、これまで権威ある教えと力ある業によって、御自分が何者であるのかを弟子たちに示してこられました。そして、16章になって、ペトロは弟子たちを代表して、イエス様に対し「あなたはメシア、生ける神の子です」と告白することができるようになったのです。

 

ペトロの信仰告白は、4章17節から記されていたイエス様のガリラヤ宣教の最高潮、クライマックスと言うこともできます。マタイは、このペトロをはじめとする弟子たちの信仰告白を境として、「このときから、イエスは」と新しい区切りを付けているのです。

 

マタイによる福音書は、1621節から第二部が始まったと言えるのです。また、ある研究者は、1621節は、マタイ福音書の転換点、ターニングポイントであると言っております。イエス様に対して、「あなたはメシア、生ける神の子です」と告白した弟子たちは、このときから、自分たちの描くメシア像の大転換を求められるのです。

 

祈り

 

天の父なる神様、ペトロの信仰告白を受けて、イエス様はご自分がこれから捕らえられ、十字架において死なれ、復活をすることについて告知されました。この時点では弟子たちはイエス様が言われたことの意味が分からない者でしたが、復活し、天に昇られて聖霊が降ったのちこのことの意味を理解するようになりました。人知を超えたあなたの恵みを感謝いたします。

イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。