10:21 兄弟は兄弟を、父は子を死に追いやり、子は親に反抗して殺すだろう。
10:22 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
10:23 一つの町で迫害されたときは、他の町へ逃げて行きなさい。はっきり言っておく。あなたがたがイスラエルの町を回り終わらないうちに、人の子は来る。
「死に追いやる」とか「殺す」という言葉が記されています。しかも、それが最も親しい交わりであるはずの家族の間で起こると言うのです。家族の者の中からキリストを信じる者が出てきたとき、家族の者がキリストを信じた者を、死に追いやるようになるというのです。
現代の日本社会では、「信教の自由」が基本的人権として保障されていますから、家族の中で一人だけキリスト者の場合であっても、死に追いやられるということはありませんし、あってはなりません。しかし、キリスト者であるということで、寂しい思いをしたり、悪口を言われるということはあるかも知れません。
また、イエス様は、「わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる」と言われました。使徒言行録を見ると、この預言も使徒パウロのうえに実現したことが分かります。パウロは、イエス・キリストの名のために、多くのユダヤ人から憎まれました。
パウロが神殿の境内で逮捕されたとき、大勢の民衆が「その男を殺してしまえ」と叫びながらついて来たことが記されています。また、四十人以上のユダヤ人がパウロを殺すまでは飲み食いしないと誓いを立てたとも記されています。イエス様を信じない多くのユダヤ人にとって、パウロは、「疫病のような人間で、世界中のユダヤ人の間に騒動を引き起こしている者、『ナザレ人の分派』の首謀者」だったのです(使徒24:5)。
イエス様は、「わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる」と言われたのに続けて、「しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる」と言われました。ここで、イエス様が言われていることは、「わたしの名のために、すべての人に憎まれようとも、信仰を保ち続け、救いを獲得しなさい」と言われたのです。イエス様の名のために、すべての人から憎まれることを耐え忍ぶならば、私たちは救われるのです。
祈り
天の父なる神様、ユダヤ人からも、異邦人からも迫害を受けると言われました。この世界がサタンによって支配されているならば、サタンによって影響を受けた人たちから迫害を受けることは当然のことです。けれども、その中にあっても主にあるものを支え、導き、信仰をもって生きる者としてくださる恵みを感謝いたします。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。