16:22 すると、ペトロはイエスをわきへお連れして、いさめ始めた。「主よ、とんでもないことです。そんなことがあってはなりません。」
16:23 イエスは振り向いてペトロに言われた。「サタン、引き下がれ。あなたはわたしの邪魔をする者。神のことを思わず、人間のことを思っている。」
イエス様が、「わたしは、必ずエルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受けて殺され、三日目に復活させられねばならない」と言われたのに対して、ペトロは、「主よ、とんでもないことです。そんなことがあってはなりません」と、イエス様をいさめたのです。
神様によって定められたイエス様の歩みを、悪い事だからやめるようにと注意したのです。「いさめる」とは、「(おもに目上の人に対して)それは悪い事だから、やめるようにと注意する」ことです。
そのような態度をとったペトロに、イエス様は、「サタン、引き下がれ。あなたはわたしの邪魔をする者。神のことを思わず、人間のことを思っている」と言われました。ここで、イエス様は、ペトロのことを「サタン」と呼ばれました。「サタン」とは、神の敵である悪魔のことです。悪魔は、神様の働きを妨害したり、自分が神のようになって、神をも人をも従えようとするのです。
ここでペトロがしたことは、イエス様が救いの御業を行うことを妨げようとするサタンの働きと同じことをしていると言われたのです。そしてペトロに「引き下がれ」と言われました。ここで「引き下がれ」と訳されている言葉は、直訳すると「わたしの後ろに行け」という言葉です。
この時、ペトロはイエス様をわきへお連れして、これから向かおうとする十字架への道を妨げようとしているのですから、荒野の誘惑においてサタンがイエス様にしたのと同じことをしているのです。イエス様はそのペトロに対して、「わたしの後ろに行け」と言われました。これは、「弟子としての正しい位置に戻れ」ということです。
弟子とは師匠に従う者ですが、ペトロは、師匠であるイエス様の前に立って、その歩みを指図しようとしていました。ペトロは、イエス様を「主よ」と呼んでいますが、主であり師であるイエス様に従おうとするのではなく、イエス様を自分に従わせようとしていたのです。ペトロに対して、イエス様は「サタン」と呼ばれ、「わたしの後ろに行け」と言われたのです。
祈り
天の父なる神様、ペトロはイエス様のことを「あなたはメシア、生ける神の子です」とその信仰を告白していました。それは素晴らしい信仰告白でしたがこの時点ではまだイエス様をそのように心にお迎えして、私の主として生きるまでにはなっていなかったようです。まごころから私たちの主をわが主としてお迎えすることが出来ますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。