では、尋ねよう。ユダヤ人がつまずいたとは、倒れてしまったということなのか。決してそうではない。かえって、彼らの罪によって異邦人に救いがもたらされる結果になりましたが、それは、彼らにねたみを起こさせるためだったのです。彼らの罪が世の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのであれば、まして彼らが皆救いにあずかるとすれば、どんなにかすばらしいことでしょう。では、あなたがた異邦人に言います。わたしは異邦人のための使徒であるので、自分の務めを光栄に思います。何とかして自分の同胞にねたみを起こさせ、その幾人かでも救いたいのです。ローマ11:11~14

 

では、尋ねましょう。彼らがつまずいたのは倒れるためなのでしょうか。絶対にそんなことはありません。かえって、彼らの違反によって、救いが異邦人に及んだのです。それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです。もし彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らの完成は、それ以上の、どんなにかすばらしいものを、もたらすことでしょう。そこで、異邦人の方々に言いますが、私は異邦人の使徒ですから、自分の務めを重んじています。そして、それによって何とか私の同国人にねたみを引き起こさせて、その中の幾人でも救おうと願っているのです。(新改訳)

 

26節には、「こうして、イスラエルはみな救われる」と言われています。未来においてはイスラエル全体が救われると理解されています。神は先ずイスラエルの人々に神ご自身を啓示し、彼らを神の民としてお導きくださいました。しかし、イスラエルの多くの人々は、そうした神の御心に背き、神からの救いの恵みを拒んだのでした。

 

使徒言行録7章で、殉教の死を遂げたステパノが、イスラエルの民について次のように述べています。「かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」(使徒7:51~53)

 

イスラエル人でイエス・キリストを信じるようになった人をメシアニック・ジューといいますが、現在の時点では、メシアニックジューの割合はユダヤ人の中で約1%くらいだと言われています。ちょうど日本と同じくらいの割合です。世界的に見てもこれは非常に少ないといわざるを得ませんが、以前に比べれば今は増加傾向にあるようです。

 

イスラエル人は徹底したユダヤ教の社会ですから、家族の中からイエス・キリストを信じる人が出れば、勘当されたり迫害されるようになります。ユダヤ人たちには旧約聖書が与えられそれを学んでいるにもかかわらず、それを正しく理解することができないでいるのです。

 

旧約聖書について主イエスは、「あなたたちは聖書の中に永遠の命があると考えて、聖書を研究している。ところが、聖書はわたしについて証しをするものだ。」(ヨハネ5:39)と言われ、「イエスは言われた。「わたしについてモーセの律法と預言者の書と詩編に書いてある事柄は、必ずすべて実現する。これこそ、まだあなたがたと一緒にいたころ、言っておいたことである。」(ルカ24:44)と言われています。使徒たちも、初代の教会の人たちも旧約聖書を基にしてイエス・キリストによる救いの恵みを知らされたのです。

 

祈り

 

天の父なる神様、聖書を理解することの難しさを改めて教えられています。ユダヤ人たちは聖書を与えられ、それを熱心に学んでいるにも関わらず、預言者たちに聞き従わず、主イエスをも拒んでしまいました。しかし、あなたの導きによってみことばを正しく理解できるようにお導き下さることを感謝いたします。聖書を学ぶ時、それがまさにイエス・キリストを指し示していることを思います。主イエスに似たものとなれますように、主にあって生きる者とならせてください。

イエス・キリストの御名前によって祈ります、アーメン。