11:2 ヨハネは牢の中で、キリストのなさったことを聞いた。そこで、自分の弟子たちを送って、

 11:3 尋ねさせた。「来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか。」

 

ここに登場するヨハネとは、イエス・キリストの前に生まれて、メシアが来られるための道備えをしたバプテスマのヨハネです。彼はこの時ヘロデ・アンティパスによって捕らえられて牢に入れられていましたので、彼の弟子たちをイエス様のところに遣わして、「来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか。」という事を尋ねさせたのでした。

 

彼が牢に入れられたことについては、14章に次のように記されています。「実はヘロデは、自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのことでヨハネを捕らえて縛り、牢に入れていた。ヨハネが、「あの女と結婚することは律法で許されていない」とヘロデに言ったからである。」(マタイ14:3~4)

 

ヨハネは、ヘロデ王が自分の兄弟であるフィリポの妻へロディアと不倫関係を持っていたのでヘロデ王の罪を指摘したために、牢に入れられてしまったのです。ヨハネは牢に入れられましたが、彼は、1章7節では「わたしよりも優れた方が、後から来られる。わたしは、かがんでその方の履物のひもを解く値打ちもない。」と言いました。

 

同じく9節以下には、「イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けられた。水の中から上がるとすぐ、天が裂けて“霊”が鳩のように御自分に降って来るのを、御覧になった。すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が、天から聞こえた。」(マタイによる福音書1章9~11節)と言われています。

 

この頃は、ヨハネはイエス・キリストこそが来るべきメシアであると思っていたことでしょう。その後も彼はイエス・キリストに注目していたに違いありません。牢に入ってからもイエス様について弟子たちなどから様子を聞いていたに違いありません。

 

ヨハネは、マタイ3章10節で、「斧は既に木の根元に置かれている。良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。」と述べていましたが、この言葉のようにメシアは、権威をもって人々を裁き、メシアは、現在ローマ帝国に支配されているイスラエルを解放してくださると考えていたように思われます。

 

ところが、一向にそのような力強さが今一つ感じられないと不安を覚えて弟子たちをイエス様のところに遣わしたものと思われます。

 

祈り

 

天の父なる神様、ヨハネでさえも「来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか。」と尋ねたように、神の御子である初臨のイエス様は、権威をもって人々を支配するような方ではなく、私たちと同じ罪びとの一人のようになって人々に仕え、十字架に向けて歩まれました。そのようにして私たちの罪を贖い、神との平和をもたらしてくださる恵みを感謝いたします。

イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。