26:69 ペトロは外にいて中庭に座っていた。そこへ一人の女中が近寄って来て、「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言った。
26:70 ペトロは皆の前でそれを打ち消して、「何のことを言っているのか、わたしには分からない」と言った。
26:71 ペトロが門の方に行くと、ほかの女中が彼に目を留め、居合わせた人々に、「この人はナザレのイエスと一緒にいました」と言った。
26:72 そこで、ペトロは再び、「そんな人は知らない」と誓って打ち消した。
26:73 しばらくして、そこにいた人々が近寄って来てペトロに言った。「確かに、お前もあの連中の仲間だ。言葉遣いでそれが分かる。」
26:74 そのとき、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めた。するとすぐ、鶏が鳴いた。

ペトロが外にいて中に座って様子をうかがっていると、そこへ一人の女中(召使いの女)が近寄って来て、「あなたもガリラヤのイエスと一緒にいた」と言いました。「ガリラヤのイエス」とは「ガリラヤ地方出身のイエス」という意味です。当時は、出身地と名前を結びつけることによって人物を特定したのです。

「あなたもガリラヤ出身のイエスと一緒にいた」。この女中の質問に、ペトロは、皆の前でそれを打ち消して、「何のことを言っているのか、わたしには分からない」と言いました。

10章32節、33節を見ると、イエス様は弟子たちに「だから、だれでも人々の前で自分をわたしの仲間である言い表す者は、わたしも天の父の前で、その人をわたしの仲間であると言い表す。しかし、人々の前でわたしを知らないという者は、わたしも天の父の前で、その人を知らないと言う」と言われました。

ペトロは、このイエス様の御言葉を聞いておりながら、皆の前で、イエス様と一緒にいたこと、イエス様の仲間であることを打ち消したのです。ペトロは弟子たちを代表して、イエス様に対して、「あなたは生ける神の子、キリストです」と告白しました。

14章30~31節でイエス様は、「はっきり言っておくが、あなたは、今日、今夜、鶏が二度鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」と言われたとき、 ペトロは力を込めて「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません。」皆の者も同じように言ったといわれています。

けれども実際に、周りの人から、「この人はナザレのイエスと一緒にいました」と言われたときも、「そんな人は知らない」と誓って打ち消しました。これによって、ペトロは自分に向けられた疑いを拭い去ることができたかに見えましたが、しばらくして、そこにいた人々が近寄って来てペトロにこう言いました。

「確かに、お前もあの連中の仲間だ。言葉遣いでそれが分かる」。ペトロの言葉遣いには、ガリラヤ地方特有のなまりがあったようです。ここでペトロは、自分がイエス様と同じガリラヤ地方の出身であることの証拠を突きつけられたと言えます。ガリラヤ地方出身だからと言って、イエス様の仲間であるとは限らないのですが、そのとき、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「そんな人は知らない」と誓い始めました。するとすぐに鶏が鳴いたのです。

祈り

天の父なる神様、弟子のペトロは、イエス様が捕らえられて不当な裁判にかけられる時、あなたのイエスの弟子ではないかと言われたときに、自分はイエスなど知らないとそれを打ち消しました。「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません。」と言っていたペトロは、実際にはイエス様を裏切り、否んでしまいました。これはペトロだけのことではなく、私たちも同じようにイエス様とは関係のない者であるかのように考えたり行動したりすることがあります。いつも主を見上げて、あなたと共に歩み続けることが出来ますように。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。