マタイによる福音書が終わりましたので、福音書につづく歴史書として使徒言行録を読み進めていきたいと思います。

1:1 -2テオフィロさま、わたしは先に第一巻を著して、イエスが行い、また教え始めてから、お選びになった使徒たちに聖霊を通して指図を与え、天に上げられた日までのすべてのことについて書き記しました。

「テオフィロさま」というところを口語訳聖書では、「テオピロ閣下」と訳しています。使徒言行録に出てくる総督フェリクス(23:26、24:3)、総督フェストゥス(26:25)も閣下と呼ばれています。ですから、テオフィロという人物はローマの高官ではかったかと考えられてきました。
使徒言行録は、医者のルカが記したもので、彼はルカによる福音書を執筆しました。ルカによる福音書では、「敬愛するテオピロさま」と言われていますが、使徒言行録の序文には、「敬愛する」と訳されていた言葉はありません。敬称を付けずにただ「テオフィロよ」と呼びかけているのです。
なぜ、ここでは敬称が記されていないのか。ある人は、テオフィロが、ルカ福音書を通して、キリスト者になったからだと考えています。ルカ福音書を献呈したときは、求道者であったテオフィロ閣下が、その書物を通してキリスト者となった。主にある兄弟となった。だから、もうここでは「閣下」という敬称は記されていないのだと考えるのです。
このテオフィロという人物はルカのパトロンであったとも言われています。パトロンとは、芸術家などを経済的に援助し、その活動を保護する人のことを言います。芸術家などが、その活動に専念できるように、経済的に援助をする、そういう人をパトロンと呼んだのです。テオフィロという方がいたからこそ、ルカはこの書簡を書くことが出来たということも出来るでしょう。

祈り

天の父なる神様、医者であるルカは、信仰を与え、パウロの伝道のためにも、そして何よりもルカによる福音書や使徒言行録を通して、私たちに神の福音を伝えてくださる恵みを感謝いたします。
イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。