ただ一つの救い

神はこのキリストを立て、その血によって信じる者のために罪を償う供え物となさいました。それは、今まで人が犯した罪を見逃して、神の義をお示しになるためです。このように神は忍耐してこられたが、今この時に義を示されたのは、御自分が正しい方であることを明らかにし、イエスを信じる者を義となさるためです。ローマ３：２５～２６

神は、キリスト・イエスを、その血による、また信仰による、なだめの供え物として、公にお示しになりました。それは、ご自身の義を現わすためです。というのは、今までに犯されて来た罪を神の忍耐をもって見のがして来られたからです。それは、今の時にご自身の義を現わすためであり、こうして神ご自身が義であり、また、イエスを信じる者を義とお認めになるためなのです。

 

私はあるとき、「神が愛であるならば、なぜすべての罪を赦さないのか。どうして神は人をさばくのか」という質問をいただいたことがあります。

その時わたしがお答えしたのは、「神は、愛の神であるとともに義なるお方です。もしも裁判官が、悪いことをした人たちを赦していたらどうなるでしょうか。盗む人は盗み放題、人殺しをしても罪には問われないとしたら正義を守ることができるでしょうか。」

 

むしろ聖書の視点から考えるなら、「なぜ神は罪人の罪を赦すことができるのか」ということこそが問題です。義なる神は罪を完全にさばかなければなりません。１００％完全に正義を持って治められる神が、どのようにして罪を赦すことができるのか。これがパウロの考えている問題であり、現代の人間とはまったく逆の観点から問題をとらえていることが分かります。

 

罪を犯し続ける人間が、神の正義を満たすとともにどうしたらその罪が赦され、救われることが出来るのか。これが聖書の一貫したメッセージであり、人間が罪を犯した直後から、神は、救いの計画を徐々に明らかにし、イエス・キリストにおいてそれを成就なさっておられます。

 

神の義を満たしつつ、罪人の罪が赦されるために、神は、「贖い」という制度を設けてくださいました。旧約聖書の時代には動物の犠牲をささげることによってそれを象徴として表してくださいましたが、これはイエス・キリストによる完全な贖いを指し示していたのです。新約の時代になると、キリストを「その血によって信じる者のために罪を償う供え物となさいました」

 

レビ記５章には、「祭司が、こうしてその人のために犯した罪を贖う儀式を行うと、彼の罪は赦される。」（レビ記５：１０）と言われていますが、罪を贖うことが出来るのは祭司でなければならず、命じられたとおりの方法でなければなりませんでした。その際には傷も汚れもない動物の血が流されたのです。「血によって」とは、イエス・キリストの十字架の死を意味していますが、重要なことは、罪が贖われるためにはこれ以外の方法はないということです。

 

祈り

 

天の父なる神様、あなたが私たちの罪を赦し、罪と死からの救いをもたらすためにあなたの御子イエス・キリストをお送りくださったことを心から感謝いたします。

私の罪は、私自身の努力や行いによっては、これを解決することが出来ません。この罪が赦されるためには、神が人となって私を贖ってくださるというこの方法以外にはないことを教えられています。

これほどまでにして私を招き、私を赦してくださったあなたの愛を深く覚えさせてください。

イエス・キリストの御名前によって祈ります。アーメン。